「Zoff」×ライフスタイルD2Cブランド「O0u」ユニフォーム開発者インタビュー
Zoffは、アダストリアが展開するライフスタイルD2Cブランド「O0u(オー・ゼロ・ユー)」と、サステナブル素材を用いた新ユニフォームを共同開発し、この秋から着用を開始しました。
今回は両ブランドの開発担当者である、「O0u」ブランドディレクターの近藤さん、マーケティングディレクターの坂田さん、Zoffの伊部さん、一倉さんにコラボレーションの背景や、ユニフォームに込めた思いなどを聞きました。
今回、新ユニフォームの導入に至った背景を教えてください。
伊部(Zoff 店舗支援部):
旧ユニフォームの導入から5年が経過し、スタッフが自分らしく働ける環境やルールの見直し、社会環境問題への意識の高まりなどがきっかけでした。Zoffは創業以来、メガネやサングラスをファッションとして楽しむ環境つくりに取り組んできました。それと同じく、「サステナブルなファッションの楽しみ方を提案する」アダストリアグループの中で、サステナブルファッション専門のブランドとして活動されている「O0u」にお声掛けしたのが、今回のお取り組みのきっかけです。
坂田(O0u マーケティングディレクター):
「O0u」は、アダストリアのグループ会社アドアーリンクが展開するライフスタイルD2Cブランドとして2021年にデビューしました。“新しい、ふつう。新しい、かっこよさ。”をブランドコンセプトに人種や性別、体型、年齢や思想、あらゆる境界を越えた新しい価値観を目指し、アダストリアの「PLAY FASHION!」はそのままに、ファッションを通じて、透明性や持続可能性を追求し、人と環境にやさしい、より良い社会つくりを目指しています。今回、お話をいただいて、個人的にもメガネが好きということもありますが、素敵な店舗も拝見していましたし、スタッフさんの接客の素晴らしさも経験していましたので、ひとことで、とても光栄でした。
一倉(Zoff 制作部):
ありがとうございます(笑)。「O0u」はアイデアや技術面、生産背景に至るところまでプロフェッショナルなブランドなので、今回私たちが目指した新しいユニフォームを一緒に開発するのにはぴったりな取り組み先だと思いました。
このユニフォームにどのような思いを込めましたか?
伊部(Zoff):
メガネをより身近なファッションアイテムとして感じてもらい、気分を高めるアイテムとして使ってもらう、そんなZoffスタッフの思いを体現するユニフォームを目指しました。スタッフへのアンケートを中心に、過去のユニフォーム実績やO0uによる制服に対するリサーチデータを反映し、ご来店される小さなお子さまから大人の方までに与える印象を意識しています。そういったポイントを「O0u」にお伝えし、デザイナーの近藤さんがコンセプトに落とし込んでくれました。
新ユニフォームのコンセプト【RE FRAME】について教えてください。
近藤(O0u ブランドディレクター):
Zoffだけではなく、制服を導入しているさまざまな業種のお店を数日間観察しました。スタッフさんひとりひとりがそれぞれ年齢も違えば体型も、お店を出てからのライフスタイルも、服の好みも、たぶん皆違う。社会人一日の3分の1、8時間近くを仕事に費やしていて、生活のなかでとても大きなウェイトを占めています。そうした時に、いかに自分らしく、楽しく、仕事と向き合えるか。割り切った時間ではなく、仕事がもっと個性とシンクロして、個人の魅力が引き立てば、お客様も魅力を感じ、お互いの笑顔が増えるのではないかなと漠然と考えていました。
従来の枠組みや規律のようなものの象徴でもある、“制服”の概念を一回考え直しても良いのではないかと。そうして「RE FRAME」というコンセプトが浮かんできました。一方で、枠組みや規律が同時に存在することによる心地よさや美しさも感じています。個人、個性をできる限り快適に包み込むユニフォーム、それが今回目指したコンセプトです。
ユニフォームのデザインや素材選びについて教えてください。
一倉(Zoff):
意識したのは「サステナブル」「ダイバーシティ」「ファッション」です。男女兼用で、個々のスタイリングを活かすデザインと、環境に配慮した素材は実現したいポイントでした。
近藤(O0u):
O0uはデビュー以来、オリジナルな素材調達にもこだわってきました。サステナブルな原料や背景はもちろんですが、快適な機能性、手持ちの服にも合わせやすいナチュラルな素材感など、自信をもっておすすめできる「能登産の素材」を採用しました。デザインは快適性を追求し、締め付けない緩やかなシルエット、体型を選ばずキレイに馴染む肩周りの構築、ワンアクションで脱着できるスナップボタン、ジェンダーレスで着用できる柔らかく優しい印象など、特にそうした細部に気を使いました。
開発にあたって意識したことや苦労したことはありますか?
近藤(O0u):
一番はスケジュールとの闘いでした(笑)
伊部(Zoff):
10月の衣替えに間に合うよう、近藤さんにはご尽力いただきました(笑)意識したのは、Zoffのシンボルとなるイメージを表現すること、様々なスタッフが輝けるユニフォームであること、そして、お客様をお迎えする日々のシーンで快適に過ごせることです。
坂田(O0u):
O0uは、人にも環境にもまっすぐに向き合う、透明性をこころがけています。こういったお取り組みを、アダストリアグループ、O0uも近年お声がけいただく機会が増えていますが、今回は特に、着用いただくスタッフ様ファースト、喜ばれる制服を作りたいという目的を最優先し、お手元に届く際のパッケージの制作や、制服そのものだけではない、お届けする気持ち、抽象的ですが“こころを入れる”、という部分にまずは集中しました。
一倉(Zoff):
実際に着用するスタッフを第一に考え、素材選びや着丈の調整、イージーケアができるといった機能面も網羅し、私たちのリクエストにいつも期待以上のご提案をしてくださいました。
近藤(O0u):
コンセプトである「【RE FRAME】再構築する、見方を変える、捉え直す」が、ユニフォームに込めたO0uのブランドメッセージであり、哲学です。あとはユニフォームとして、見る、見られる印象を大事にしながら、少しの変化と、アダストリアの理念である「PLAY FASHION」“あそびごころ”を調和させることを意識しました。
ユニフォーム開発の過程で、お互いのブランドの強みを最大限に活かすための工夫や取り組みはありましたか?
近藤(O0u):
新しい挑戦をさまざま行っているZoffと、従来の概念に縛られない洋服作りを目指している私たちとで、デザインについての斬新なアイデア交換など、とてもフレキシブルにデザインを楽しみながら取り組むことができました。
伊部(Zoff):
近年、サステナブルな社会を目指す活動に注力している中で、私たちがまだ把握しきれていないファッション分野において、O0uのサーキュラーエコノミー実現を目指す取り組みについて、いくつも教えていただきました。今後も切磋琢磨し合える関係性でいれたらと思います。
近藤(O0u):
今回のコラボレーションで、生活を「どう楽しむか?どう楽しみたいか?」といった感覚は、メガネも服もおそらくそれ以外も次々と垣根がなくなっており、多様化したライフスタイルに繋がっていっているなと。そんな発見がありました。
最後に、ユニフォームを実際に着用する従業員や、それを見るお客様へのメッセージをお願いします。
坂田(O0u):
今回のリニューアルでは、レギュレーションはあるものの私服ミックスが採用されていますので、よりスタッフの皆さんの個人・個性があらわれるユニフォームになるかと思います。毎朝、少しコーディネイトを考えることが楽しみに変わったり、またそれを見るお客様がスタッフさん個人にご興味を持って会話のきっかけになったり、人と人が繋がっていくような、笑顔の似合うユニフォームになれたら嬉しいです。
伊部(Zoff):
スタッフ自身が、自分らしい様々なスタイルを楽しむことを実感し、お客様に提案することでメガネがファッションとして広がるきっかけになることを期待しています。今後も、新たなことに挑戦し続けるZoffとO0uにご期待いただければ幸いです。
左から
O0u ブランドディレクター 近藤 満
イッセイミヤケ入社、所属デザイナー・アーティスト津村耕佑氏に師事。KOSUKE TSUMURA海外,東京レディースコレクションのアシスタントデザイナー、FINAL HOMEにてチーフデザイナーを経験後、ユニクロに入社、スポーツカテゴリーと契約プロアスリート選手らのユニフォームデザインを担当。その後アダストリアなどを経て、アドアーリンク設立メンバーとして現職。
O0u マーケティングディレクター 坂田 文子
大学卒業後、新卒でファッションブランドのプレスになり、その後美容系企業のPR・広報を経て、株式会社アダストリア(当時の株式会社ポイント)にブランドプレスとして入社。5ブランド以上のブランドプレスやブランドディレクターを経験したのち、2021年12月より現職。
Zoff 店舗支援部 部長 伊部 香織
5店舗の店長経験を経て、2020年4月より店舗支援として本社勤務。2023年3月より制服プロジェクトに参加、2023年8月より現職。
Zoff 制作部 一倉 理恵
Zoffのグループブランド「GLASSAGE」にて制服企画、ディレクション、商品担当、販促などを担当、2023年3月より制服プロジェクトに参加、2023年6月から現職。
▼Zoff新ユニフォームのコンセプト
【RE FRAME】再構築する、見方を変える、捉え直す
FRAMEは、社会のフレーム、組織のフレーム、の様に枠組み、制約や規律に閉じ込めるニュアンスを持ちます。制服はその象徴でもありますが、一方で、アートのフレーム(額)は作品がよく見えるよう装飾に使い、窓のフレームはその限られたスペースが故に、 時に素晴らしい景色を与えてくれます。メガネのフレームも人をいろんな印象に見せてくれます。制約や規律があるからこその安心や心地良さ、枠組みがあるからこその美しさや自由への気づき。【RE FRAME】は、多様性の時代に、この制約や枠組みを見つめ直し、これからの制服の在り方を模索しています。
O0u公式ブランドサイト:https://o0u.com
O0u×Zoffスペシャルコンテンツページ:https://o0u.com/blogs/edits/zoff