「いつも自分が好きな自分でいたい」
フェンシング 江村美咲
そのための手段がファッションだったり、髪型や髪色だったり。メガネはとても大切なツール。いままでピンクを選んだことはなくてすごく新鮮な印象。フレームの形も独特で、あ、意外に可愛いなと思いました。
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いまも鮮明なあの瞬間、あの活躍。
フェンシング発祥の地、フランス。その首都パリで開催された昨年夏の大会。地元フランスチームを相手にした完全アウェイの状況の中で、日本の女子サーブル団体チームは3位決定戦で勝利し、銅メダルに輝いた。この種目では日本初のメダル獲得となった試合で最後に登場し、エースとして対戦を締めくくったのが江村美咲さん。中継で、ニュースで、両手を突き上げて歓びを爆発させた熱い熱いガッツポースはいまも記憶に鮮明。8歳から始め、すでに18年ものキャリアを重ねている江村さんが感じているフェンシングの魅力とは?
永遠に見つからない正解。それがフェンシングの魅力。
「まず道具、つまり剣を使って相手と斬り合う、突き合うという競技そのものが珍しいと思いますし、その中で、これはどの競技も一緒かもしれないですけど、心技体のひとつでも欠けたら勝てません。私はじゃんけんと鬼ごっこの組み合わせだと思っているんです。同じことをして点が取れることもあり、取れないこともあり。その日その日でまるで結果が違ってきたり、勝てば研究されたり。
次々と課題を出され続けて、それをいかにクリアしていくか。永遠に正解がなくて、それがフェンシングならではの魅力かなと思います。それと、やはり見た目が個性的で独特の世界観があることも、私がフェンシングを好きな理由です」。
いつも、自分が好きな自分でいたい。
そう、選手たちのユニフォーム姿がすでにとてもユニークで、剣士の凛々しさに加えて何やら華麗な雰囲気も漂うフェンシングというスポーツ。江村さん自身もおしゃれが大好きで、有名なファッションブランドのアンバサダーも務めているほど。また、この1月からZoffのアンバサダーとしても活動を始めています。
「いつも自分が好きな自分でいたい、という気持ちがあります。その方法がファッションだったり髪型や髪色だったりということなんです。なので、オフの日はもちろんですけど、練習の日もお気に入りのウェアで行ったり、アクセサリーを付けてトレーニングしたり。私にとってそうした習慣は自分の好きな自分でいるためには不可欠なんです。この性格は、小学校の入学式に着ていく服とかも結構あれこれ選んだりしていましたから、もう本当に小さい頃からですね」。
いつもは選んだことのないピンクが、あ、意外に可愛い。
きょう、江村さんが選んだメガネはモダンユニークな要素を取り入れた、エッジの効いたシリーズ。ジェンダーレスなデザインで、自分だけのスタイルを確立したい方にぴったりのフレームです。
「細いフレームは普段あまりかけたことがなくて、形も独特なのに、これがいちばんフィットしてるなと思いました。いままで自分でピンクのレンズを選んだことはなくて、すごく新鮮な印象だったんですけど、あ、意外に可愛いなと思って。かけ心地もいいし全然疲れないので、ずっとかけていられますね。
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私のメガネデビューは最近で、4年前かな、そのファーストメガネがじつはZoffさんでした。フレームの太さをいろいろ変えたり、遊びのあるものにしてみたりするうちにだんだん楽しくなってきた感じです。視力はいいのでファッションアイテムとして8本くらいは持っていて、その中でサングラスは2本あります。濃いグレー、黒に近いレンズです。最初はファッションアイテムとしてかけてみたら、こんなに目がラクなんだと感じて。UVカットの意味もあるので、普段から愛用するようになりました」。
視界には、ロサンゼルスでの金メダル。
年明け早々に、江村さんたち女子サーブル団体チームはまたもや快挙を成し遂げた。
ブルガリア・プロブディフで開催されたワールドカップで見事に優勝。サーブル種目では男女を通じて初の頂点に立った。ハンガリーとの対戦となったその決勝では、36-42とリードされた場面でアンカーの江村さんが登場。43-43と追いついてから先にマッチポイントを握られたが、そこから攻め抜いて45-44の大逆転劇。日本のフェンシング界に新たな歴史を刻む勝利となった。
「これからも試合を重ねながら、2026年のロスアンゼルス大会の出場権を団体と個人で獲得して両方で金メダルを取る、という目標をしっかりと見つめてやっていきます」。
江村さんの視界の中で、その輝きはますます鮮明なものになってきた。
えむら・みさき◎
1998年生まれ。大分県出身。小学3年生の時にフルーレからフェンシングを始め、小学校卒業直前にサーブルに転向。15歳で世界選手権に初出場。中央大学卒業後にプロ選手としての活動を開始。国際フェンシング連盟が2023年2月に発表した世界ランキングでは、日本女子選手として初の1位に輝く。2025年のグランプリ大会女子サーブル個人、ワールドカップ女子サーブル団体でともに優勝。同年1月には、Zoffブランドアンバサダーに就任した。
着用モデル:ZF252004_15F1 ¥ 13,300(セットレンズ代込)